Beside you 第1回(1/2)

ある日突然ご子息がCMLと宣告された橋本明子さん、その後骨髄バンク設立運動の代表として活動していたある日、記者のふとした一言に救われます。そんな経験を通して橋本さんが着目したのは本人が「語る」ことの大切さでした。

あなたの悲しみを聴き、受け止める存在が「ここにいる」 ということを知ってほしい

橋本 明子さん
NPO法人 日本臨床研究支援ユニット(J-CRSU) 
がん電話情報センター 相談主任
NPO法人 血液情報広場・つばさ 代表
(財)骨髄移植推進財団 
常任理事 橋本 明子さん

橋本さんプロフィールと「つばさ」の活動内容

つばさ」の活動内容白血病を宣告されたご子息を救うため骨髄バンクの設立を決意。「全国骨髄バンクの早期実現をすすめる会」を1987年に発足。患者登録のため渡米。帰国後、血液がん・小児がんを対象にした医療学習会グループ「命と医療を考える会」を立ち上げる。
1991年12月骨髄バンク稼動。1994年、「・・・考える会」を日本つばさ協会として改組、2002年NPO法人化「血液情報広場・つばさ」となる。自らの経験に基づいた患者支援活動の展開を継続。現在は、「がん電話情報センター」で患者さんやご家族からの電話相談を受けている。

区切り

ヘッダ「がん電話情報センター」で行われている相談についてお話ください。

きっかけとなる相談は病気のことや治療内容、経済的なことなどさまざまですが、多くの場合、混乱した思いや将来の不安など、抱えこんできた思いを吐き出す「語り」となります。「しっかりしなければ」と頑張って、本当は自分が非常に混乱していることや悲しんでいることにさえ気づいていない患者さんも少なくありません。人に話せずに我慢していた思いはどんどんたまって、大きなストレスになります。
がん電話情報センター 自分やたいせつな家族ががんになってしまった…。それはほとんどの方にとって「人生の危機」ですから、衝撃や混乱は手に余る分量です。話の糸口は「薬の副作用」でもいい、「次の治療選択」でもいい、「隣の人がうるさい」でもいいんです。ほかには決して漏れない処ですから、声を出して「語り」ましょう。我々電話相談員は、患者さんの声を単に「聞く」のではなく、心から「聴く」訓練を受けています。
お話なさりながら、号泣される方もいらっしゃいますが、自分が悲しいことや怒っている等の心の状態に気づくと、家族を見る目にも余裕が生まれ、医師や看護師が言ったことの意味がすんなり理解できたりします。そして次のステップに進んでいく、そのための小さな支援が「電話でお話を聴く」ことだと考えます。私たちは医療ではなく「同じ目線の仲間の位置」にいます。それが電話相談の個性です。声に出して思いを語れば、呼吸が促進されて心(脳)に酸素が行き届く、これが「声呼吸」という効果かな、と思っています。

ヘッダ長い闘病生活を余儀なくされる患者さんからのご相談も多いと思いますが、病気との付き合い方や心構えなどについて、何かアドバイスがおありですか。

橋本 明子さんがんを宣告された時、ほんとうに厳しい心理状態だったと思います。その衝撃、悲しみ、それからの辛い治療にもよく耐え、仕事を続けることが難しくなっても、それでもよくここまで生きてきた、その功績にご本人も支えたご家族も気づいて、評価していただきたいと思います。大変な経験をして、それでも困難に打ち勝ってここまで頑張ってこられたあなたは、人生に勝利しているのかもしれません。
実は、治療が奏効してがんには勝ち抜いているのに、がんになった時点で人生に敗北したと感じる人もいらっしゃいます。
電話相談で話される内容はがんの話なのですが、実は長い人生の話をされているわけです。電話相談ではなくてもいいですから自由に語れる場で、初発から今に至る日々をお話できるといいですね。そうやって、語っているうちに「案外いい人生(いい家族)だったかもしれない」と思えてきたりするのです。

 

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