3.MMの検査と所見

多発性骨髄腫の診断と治療方針を決めるためには、何種類かの検査を行います。検査では骨髄を採取して骨髄腫細胞を確認するだけでなく、それによって起こるさまざまな異常や、合併症の有無を確認します。必要な検査は、血液検査、尿検査、骨髄検査、画像検査などです。

血液検査

赤血球数、ヘモグロビン、白血球数、血小板数などを測定し、造血機能の障害の程度を調べます。また、骨髄腫の進行度や腎臓の障害を調べるために、M蛋白の量、クレアチニン、カルシウム、アルブミン、β2ミクログロブリンなども測定します。

検査項目 基準値 多発性骨髄腫における変動
赤血球数 男: 435~555×104/μL
女: 386~492×104/μL
減少し、貧血を引き起こす。
ヘモグロビン 男:13.7~16.8g/dL
女:11.6~14.8g/dL
減少し、貧血を引き起こす。
白血球数 3.3~8.6×103/μL 減少し、抵抗力が落ち、感染症にかかりやすくなる。
血小板数 15.8~34.8×104/μL 減少し、出血しやすくなる。
クレアチニン 男:0.65~1.07mg/dL
女:0.46~0.79mg/dL
腎機能障害により増加。
カルシウム 8.8~10.1mg/dL 増加し、高カルシウム血症を引き起こす。
アルブミン 4.1~5.1g/dL 病期により減少。
腎機能障害により減少。
β2ミクログロブリン 0.8~2.0mg/L 病期により増加。
免疫グロブリン、M蛋白 IgG 861~1,747mg/dL 病気の型により増減するM蛋白は異なる(例:IgGが増加し、IgA、IgMが減少している場合はIgG型)。
IgA 93~393mg/dL
IgM 男:33~183mg/dL
女:50~269mg/dL
フリーライトチェーン(FLC)1) κ カッパ 3.3~19.4mg/L 病勢により増減。
λ ラムダ 5.7~26.3mg/L

*FLC以外の基準値は「臨床検査基準値一覧」2016 年6月版(国立がん研究センター中央病院 臨床検査部)より
1)日本骨髄腫学会編:多発性骨髄腫の診療指針 第4 版,2016 年,p14,文光堂

尿検査

多発性骨髄腫ではM蛋白に由来するベンスジョーンズ蛋白が尿中に排出されます。そのため、尿検査によりこの蛋白を調べます。24時間の尿を集めて調べる全尿検査も行います。

骨髄検査

多発性骨髄腫の診断を確定するには、腰の骨などから骨髄液(骨髄穿刺)、または骨髄組織(骨髄生検)を採取し、骨髄の中にある骨髄腫細胞の存在率や形を調べます。また、細胞の表面にあるマーカー(腫瘍の存在や特徴をあらわす目印)の検査でも多発性骨髄腫の確定診断を行う場合があります。染色体の異常を調べる染色体検査では骨髄腫の予後予測や使用可能な治療法の選択を行います。

画像検査

多発性骨髄腫と診断された後には、全身への病気の広がりや骨の状態を確認するために画像検査を行います。もっとも一般的なX線(骨レントゲン)検査で、骨の状態や病的な骨折の有無などを調べます。最近ではCTやMRIによってより小さな骨の病変や骨髄腫細胞の広がりについても検査できるようになりました。さらに、骨髄の外にある病変を検査するためにPET検査が行われることもあります。

  • 【参考文献】
  • 日本骨髄腫学会 編:多発性骨髄腫の診療指針 第4版,文光堂,2016.
  • 医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.5 血液 第2版,メディックメディア,2017.
  • 清水一之 編:多発性骨髄腫 Updating 第1巻 多発性骨髄腫の診断,医薬ジャーナル社,2012.
  • 堀田知光 編:みんなに役立つ 多発性骨髄腫の基礎と臨牀,医薬ジャーナル社,2008.
  • 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年.http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1.html#soron、(参照2017年10月31日)

わからないことや気になることがある場合は、医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。

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