5.MMの治療法

治療開始時期について

多発性骨髄腫にはいくつかの病型があり、 MGUS エムガス 、くすぶり型骨髄腫では、検査でM蛋白の増加などがわかりますが、症状はありません。症状がない場合、通常は治療を行わずに、定期的な検査のみで経過をみていきます。治療は、自覚症状や臓器障害(腎機能の低下など)があらわれる多発性骨髄腫となった時点ではじまります。最近では検査の結果、治療が必要と判断された場合は、症状がない場合でも治療を行うことがあります。

治療について

多発性骨髄腫では、それぞれの患者さんの状況に応じて治療やその後のケアが変わります。治療には大きく分けて、①初期治療、②初期治療で得られた効果を持続させるための維持療法、③再発・難治性に対する治療、④合併症に対する支持療法があります。

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① 初期治療

初期治療には、抗がん剤による治療(化学療法)が行われます。新しい薬剤が登場し、多発性骨髄腫の治療は大きく改善しました。また、65歳未満で重い感染症や肝・腎の障害がなく、心肺機能に問題がないといった条件を満たす方には、自家造血幹細胞移植が行われます。自家造血幹細胞移植とは、抗がん剤などにより可能な限り骨髄腫細胞を死滅させ、そのあとであらかじめ採取しておいた患者さん自身の造血幹細胞(血液細胞のもととなる細胞)を患者さんに輸血して、正常な骨髄の機能を回復させる治療です。一方、65歳以上の患者さんでは、自家造血幹細胞移植を行わずに化学療法を行います*。そのような患者さんでも近年の治療法の進歩に伴って治療成績が改善しています。

*65歳は目安であり、患者さん毎に移植が適切か検討されます。

65歳以上の多発性骨髄腫患者における全生存率

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② 維持療法

治療により、骨髄腫細胞が減少して、症状も安定した状態になった段階では、治療をお休みするか、場合によっては初期治療で得られた効果を持続させるために維持療法を行うことがあります。

③ 再発に対する治療

再発後は化学療法として、初回の治療を再度試みるか、別の化学療法を行います。多発性骨髄腫では使用できる薬剤の選択肢が増えて、治療成績も改善しています。

④ 支持療法

多発性骨髄腫による症状(合併症)には、骨病変、高カルシウム血症、腎不全、感染症、末梢神経障害などがあり、骨髄腫が進行するにつれて重大な合併症が起こることもあります。その場合、患者さんの状態によっては骨髄腫に対する治療よりも合併症の治療を優先させることもあります。

治療の流れ

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  • 【参考文献】
  • 日本骨髄腫学会 編:多発性骨髄腫の診療指針 第4版,文光堂,2016.
  • 木崎昌弘 編:多発性骨髄腫治療マニュアル,南江堂,2012.
  • 医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.5 血液 第2版,メディックメディア,p200,2017.
  • 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年. http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1.html#soron、(参照2017年10月31日)

わからないことや気になることがある場合は、医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。

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