大腸がんを生きる仲間

がんと向きあう こころの灯

こころの専門医からのアドバイス
3. 治療終了、経過観察中のとき

Q

何かあると、すぐに再発・転移を連想してしまいます。

A

がんの治療を受けてからの3年間は、特に再発の可能性の高い時期であるため、多くの患者さんで些細な体調の変化もすべてがんの再発や転移に結びつけてしまいがちです。とてもつらい時期だと思いますが、気持ちを切り替えることが大切です。「先のことは、その時になったら考えよう」、「またがんができたら、医師と相談して一番良い治療を受けよう」と思うようにしてはいかがでしょう。ご自分なりの生活のリズムを身につけ、日々の生活をどう送るかを考えることも、再発や転移の恐れを和らげることになるでしょう。

この時期には、弱音を吐ける人がいることや、がんに関する情報を集めて整理することも不安を和らげる効果があります。例えば、家族や友人、サポートグループの人などと、集めた情報を整理するとともに、それらの人にがんを抱えた後の気持ちを打ち明けることも良い方法です。実際、「心を許せる同僚や家族の存在が何よりの助けだった」と振り返られる患者さんもいらっしゃいます。

Q

治療が無事にすんで退院したら、急に不安感に襲われるようになりました。

A

入院中は医師や看護師が身近にいて一緒にがんと闘っていたのに、そこから離れ自宅に戻るとひとりになるのですから、孤独を感じたり不安になるのも無理ありません。人によっては、退院後に改めてがんになった衝撃を感じることもあります。また、しばらくすると再発への不安も頭をもたげてくるでしょう。

そのような時に支えになるのは、やはり家族や親しい友人で、その方達に自分の不安や恐れをお話しになることです。また、定期検診の時には気がかりなことは遠慮なくメモにして、担当医に訴えられるとよいでしょう。さらに、患者会などで同じ病気と闘っている人と語り合うことも、「不安なのは自分だけではない」ということが分かり助けになると思います。このような周囲の人からのこころの援助を “ソーシャルサポート”と呼んでいます。患者さんを支えるこころのサポーターに、気持ちを打ち明けてみてください。

Q

それまでの生活から切り離されて、孤独を感じます。

A

がんの治療では、手術などで身体の一部や機能を失うこともあり、喪失の悲しみで抑うつ的な状態になることがあります。また、そのために日常生活がままならなくなったり、元の社会生活に完全には戻れないこともあります。あらためてがんを患ったことを認識して社会から取り残されたのではないかと感じ、孤独を強く感じることもあります。

このような時には焦らずに、毎日の生活を見直してみましょう。治療中にはできなかったことが段々できるようになり、「今日はこんなことができた」と少しずつ積み上げていくことで、取り残されたという気持ちから少しずつ回復したり、新たな目標も見つけられるのではないでしょうか。また、思い切って周囲の人に自分の状態や不安について聞いてもらうことも、孤独感を和らげる良い方法でしょう。

Q

がんになる前の状態に戻っていないのに、周囲の人に分かってもらえません。

A

がんの治療が無事成功し退院すると、周囲の人の中にはもうすっかり元の状態に戻ったのだと誤解されることがあります。ところが、退院しても手術などの傷痕が完全に治りきっていなかったり、身体機能の一部が損なわれていることもあります。エネルギーの低下や倦怠感などで以前と同じ状態に戻れず、職場に復帰しても十分に働けないこともあります。しかし、このような時にはまず、自分から働きかけることが大切です。職場の受け入れ態勢が整っていなかったり、分かってほしいことや協力してほしいことがあったら、少しずつでも自ら話してみましょう。それが周囲の理解につながると思います。

また家庭を預かっている場合、退院後すぐに家事などをこなさなければならない状態に置かれることもあると思います。がん患者さんの家族は、患者さんご本人と同程度のストレスを受けていることが、研究の結果分かっています。そこで、患者さんからも「入院中は不自由をかけた」などと言葉をかけてお互いをいたわり合い、家族の理解と協力を得ながら退院後の生活を始められることをお勧めします。