大腸がんを生きる仲間

がんと向きあう こころの灯

こころの専門医からのアドバイス
5. 再発・転移の治療を前にしたとき

Q

つらい治療を、これからも続ける意味が分かりません。

A

「再発後の標準治療」があるうちは、その意義について担当医に聞きながら生活重視で考え、「標準治療」がなくなった後は、これからの人生計画を最優先にして、その計画達成のため必要な治療は何なのかということを基本に治療を考えられることをお勧めします。

特に、日常の生活を大事にされたいというのであれば、つらい治療を積極的に受ける理由や意味を見出しにくくなります。まずそのことをしっかりと担当医にお話しになり、その治療を続けることと続けないことのメリットとデメリットをよくお聞きになって決められたらどうでしょう。それでもつらい治療を続けたくないと思われるのであれば、治療を一時中断して日常生活を少し回復してから、再度どうするか考えるという方法もあります。医療者を含めて、患者さんとご家族でよく話し合うことが重要です。

Q

抗がん剤による治療法は、もうないのでしょうか。

A

がんと診断されて最初に受ける治療では、「標準治療」と呼ばれるその時点で最も効果があると科学的に証明された治療法があることが多いため、受けられる治療法がないと悩むことはあまりありません。ところが、再発したがんに対する「標準治療」はない場合もあります。しかし、「標準治療」がないといっても治療の道が全く閉ざされたという訳ではありません。今後、どのような状態がご自分にとってベストかということを含め、担当医とよく相談して治療方法を見つけていけばよいと思います。

しかし、治療法については、提示された中から患者さんが選択することも少なくありません。迷った場合には、担当医と話し合うと共に、セカンドオピニオンを求めることも考慮に入れてみましょう。

今ひとつ付け加えますと、再発後に深刻に悩まれるのは、治療開始までの期間であることが多いようです。治療が始まれば「がんと闘っている」という実感が生まれ、自然に落ち着かれるように思います。

Q

いろいろな体験談や代替療法の話を聞きますが、試した方がよいのか迷っています。

A

手術にしろ抗がん剤による治療にしろ、患者さん自身が選ばれたといっても、がん治療のほとんどは受け身にならざるを得ません。代替医療はその点で、能動的になれるという意味では良いと思います。ただし、代替療法で科学的に効果が証明されているものはありませんし、かえって有害だと思われるものも少なくありません。また、親しい人に勧められると、止めたくてもなかなか止められないという面にも注意が必要です。

私たち医療側からみると、代替医療に惹かれるということは、患者さんが不安な状態にあることの裏付けと言えます。その不安な気持ちを、担当医や看護師にお話しいただけるとよいですね。

COLUMN 2:担当医に伝えていただきたいこと

患者さんやご家族が気持ちの落ち込みに上手に対処していくために、事前に担当医にお伝えいただきたいことがあります。それは、自分のがんをどこまで理解しているか、自分はどこまで知りたいか、どのように伝えてほしいかの3点です。

1. 自分のがんをどの程度理解しているか
(例:よく知っている、まったく知らない)
2. 自分のがんをどこまで知りたいか
(例:大事なことを少しだけ、すべてを詳細に)
3. どのように伝えてほしいか
(例:検査ごとに少しずつ、一度にすべて)

また担当医へは、診断や治療に関しての専門用語は分かりやすい言葉に置きかえてもらい、できれば紙に書いてもらえるようにお願いするとよいでしょう。