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1.同じ治療でも高額療養費の対象にならない場合がある

入院費の支払い方法

がんの入院治療費は高額になることが予測されるので、70歳未満の患者の場合はあらかじめ「限度額適用認定証」の申請手続きをして、高額療養費制度を利用することで窓口負担を自己負担限度額までとすることができます(70歳以上の場合は一般区分(156万円〜約370万円)の方、および現役並み(年収約1,160万円〜)の方は手続き不要)。

最近は医療技術の進歩により、がんの診療形態は入院治療のみならず外来治療も加わり、増加しています。がん薬物療法は、寛解を目的としたもの、症状緩和(姑息的治療として)を目的としたもの、いずれの場合でも、患者QOLの視点からできるだけ患者が外来で受けるのが望ましいと考えられています。

現在、がん化学療法の発達を背景として、関連する法律等が整備されるなどして、がんの外来化学療法が多くの病院で積極的に行われるようになってきています。病院によっては外来化学療法部(外来治療センター)が設けられ、チーム医療によるがんの外来化学療法が提供されつつあります。

がん治療では、入院・外来の診療形態にかかわらず、高額医療による患者負担の軽減を目的とした高額療養費制度の利用ができます。

1ヵ月ごとにとりまとめられた医療費算定と高額療養費制度

がん化学療法では様々な治療レジメンが実施されます。レジメンとは、がん薬物療法において抗がん剤や輸液、支持療法(制吐剤など)等をどのように組み合わせるか、あるいは単独で投与するか等を定めた、時系列的な治療計画のことです。治療開始のタイミングによっては、実質的な治療期間は月から月へまたぐことが推測されます。

高額療養費制度は、1ヵ月ごとに算出された高額医療費に適用されますので、月をまたいでの合算はできません。

同一のレジメン、プロトコールによる高額療養費制度適用の可否

同じレジメンでも、1ヵ月以内(1日から月末)に終了する場合と、2ヵ月にまたいで終了する場合では1ヵ月ごとの医療費に差が生じ、極端な場合では同じ治療方法でも前者は高額療養費制度の対象になり、後者は対象外という場合も生じることが考えられます。

特に昨今、がん化学療法が大きく発達する一方で医療費の高騰が問題となり、高額な医療費のために最適な治療を受けられないという懸念も生じているので、このような事態を避けるためにも、患者負担の面も考慮したレジメンを実施できるマネージメントが望まれます。

患者は治療レジメンのインフォームドコンセントにおいて、その効果や副作用のみならず医療費についても確認し理解することで、高額療養費制度の適切な利用が可能になると考えられます。

同一のレジメン、プロトコールによる高額療養費制度適用の可否

「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から):厚生労働省保険局」より作成

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