3.人工透析患者の自己負担限度額
特定疾病療養受療証の交付と対象疾患
(1)人工腎臓(人工透析)を実施している慢性腎不全患者、(2)血友病患者、(3)血液凝固因子製剤投与に起因する後天性免疫不全症候群(HIV)感染症の患者は、各保険制度で「特定疾病療養受療証」交付の手続きをすると、ほぼ一生の間、治療を要する長期高額疾病の患者として月額の自己負担額が10,000円になります。
交付の手続きは、国民健康保険、後期高齢者医療の場合は各市区町村役場の保険課、協会けんぽは全国健康保険協会の各都道府県支部(船員保険の場合は船員保険部)、そのほかの健康保険の場合は加入する保険者に申請して行います。
申請に必要なものは、(1)被保険者証、(2)印鑑、(3)医師の意見書が記載された申請書(所定の様式があります)です。
人工透析患者の高額療養費の現物給付と自己負担限度額
人工腎臓(人工透析)を実施している慢性腎不全患者については、国民健康保険の被保険者で基礎控除後の総所得金額等が600万円を超える上位所得者の場合(健康保険において療養のあった月の標準報酬月額が53万円以上の被保険者又は被扶養者の場合)は、月額20,000円となります。
上位所得者以外の患者については、自己負担の限度額は 10,000 円となっており、それを超える額は現物給付されるので、医療機関の窓口での 負担は最大でも10,000 円で済みます(表)。
人工透析を実施している患者は、身体障害者手帳や障害者医療費助成制度の手続きも同時に行う必要があります。
表 人工透析が必要な慢性腎不全患者の自己負担限度額(1つの病院の月額)
疾病区分 | 所得区分 | 自己負担額 |
---|---|---|
人工透析が必要な慢性腎不全 | 年収約1,160万円〜の方、 年収約770〜約1,160万円の方 |
20,000円 |
上記以外 | 10,000円 |
- ※
- 健康保険では標準報酬月額が1等級から50等級までの幅で等級が定められており、被保険者の給与額を基に該当する保険料が決定します。等級ごとに30万円(22等級)や62万円(34等級)といった金額(標準報酬月額)が決まっています。
「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から):厚生労働省保険局」より作成