
※このページは、2011年10月作成のスプリセル®製品情報概要に基づいて作成したものです。
開発の経緯
スプリセル®錠(ダサチニブ水和物;以下ダサチニブ)は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によって開発されたチロシンキナーゼ阻害薬です。本剤は5種類の重要な発癌性チロシンキナーゼ/キナーゼファミリー(BCR-ABL、SRCファミリーキナーゼ、c-KIT、EPH(エフリン)A2受容体及びPDGF(血小板由来増殖因子)β受容体)に対するATPの結合を競合的に阻害する作用を有しています。
ダサチニブはアミノチアゾール基を有する経口チロシンキナーゼ阻害薬であり、BCR-ABL阻害作用を有していますが、イマチニブメシル酸塩(以下、イマチニブ)とは異なる分子構造を有します。ダサチニブは、イマチニブを含む既存の治療に抵抗性又は不耐容となった慢性骨髄性白血病(CML)及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)を対象とし、臨床開発が始められ、その後、初発の慢性期CMLを対象とした臨床開発が行われ、現在、世界60ヵ国以上において承認を取得しています。
海外におけるイマチニブ抵抗性又は不耐容のCML及び既存の治療に抵抗性又は不耐容のPh+ALL治療に係る開発
海外では、1998年から非臨床試験が、また、2003年11月から臨床第I相試験が開始されました。2005年12月に米国において承認申請を行い、FDAより迅速承認を受け、2006年6月にイマチニブを含む既存の治療に抵抗性又は不耐容のCML及び既存の治療に抵抗性又は不耐容のPh+ALLを効能・効果として、1回70mg1日2回投与(BID)により承認を取得しました。
EUでは希少疾病用医薬品として指定され、米国と同様の効能・効果及び用法・用量で2006年11月に承認されました。その後、1日1回投与(QD)とBIDを比較した臨床第III相試験成績に基づき、米国及びEUとも用法・用量の承認整理がなされ、慢性期CMLにおいては100mgQD、移行期・急性期CML及びPh+ALLにおいても140mgQDに変更されました。
本邦におけるイマチニブ抵抗性又は不耐容のCML及び再発又は難治性のPh+ALL治療に係る開発
本邦では、2005年7月より本剤の安全性、有効性及び薬物動態を評価する国内臨床第I/II相試験(Study CA180-031)を開始しました。第I相期ではイマチニブに抵抗性又は不耐容の慢性期CMLを対象に90mgBIDまでの日本人での忍容性が確認され、第II相期ではイマチニブに抵抗性又は不耐容の慢性期CML、移行期・急性期CML及びPh+ALLを対象に有効性及び安全性が検討されました。本試験は2007年3月に終了し、以後、長期投与時の安全性を検討する継続投与試験(Study CA180-036)に移行しました。
一方、慢性期CMLに対するダサチニブの至適用法・用量を探索した海外臨床第III相試験(Study CA180-034)において、1日用量が140mgよりも100mgで、またBID投与法よりもQD投与法で、有効性を損なうことなくより高い安全性が認められたことから、本邦においても2007年5月より慢性期CMLを対象とした本剤1日100mgをQD又はBID投与する臨床第II相試験(Study CA180-138)を開始しました。海外と同様、本邦においても本剤は2007年3月に希少疾病用医薬品に指定され、2007年8月に国内及び海外臨床試験の成績に基づいて承認申請が行われ、2009年1月にイマチニブ抵抗性のCML(慢性期、移行期及び急性期)及び再発又は難治性のPh+ALLを効能・効果として承認されました。
国内外における初発の慢性期CML治療に係る開発(国際共同臨床試験)
初発の慢性期CMLを対象に、ダサチニブ100mgQDとイマチニブ400mgQDとを比較する、本邦を含む国際共同臨床第III相試験(Study CA180-056)により、海外及び本邦において同時開発が進められました。
Study CA180-056は2007年9月より開始され、12ヵ月間投与成績の結果から、米国及びEUでは2010年4月に初発の慢性期CMLの適応症を追加する一部変更承認申請が行われました。なおFDAでは優先審査により審査されて2010年10月に、EUでは2010年12月に承認されました。本邦においては2010年7月に初発のCMLの効能・効果について承認申請を行い、2011年6月に「慢性骨髄性白血病」を新効能・効果として承認を取得し、初発のCMLへの適応拡大が認められました。
※このページは、日本国内の医療関係者を対象に作成したものです。
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