2010年12月13日
SPRYCEL®(一般名:ダサチニブ水和物)
「新たに診断された成人の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病の治療」の効能・効果が欧州で承認
-SPRYCELに、新たに診断された慢性期慢性骨髄性白血病患者の治療における、1日1回投与の食事と服用の間の時間制限を必要しないという新しい選択肢が追加-

本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が、12月8日(フランス現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に再編集したものです。内容とその解釈については原文である英文が優先します。

  • 欧州委員会が、「新たに診断された成人の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病の治療」の効能・効果で、SPRYCEL100mg(1日1回投与)を承認
  • DASISION試験において、SPRYCELは、12カ月目までの成績でイマチニブよりも短期間でより高い分子遺伝学的および確定した細胞遺伝学的完全寛解率(*1)を達成

(フランス、パリ、2010年12月8日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は本日、新たに診断された成人の慢性期のPh+慢性骨髄性白血病治療における、SPRYCEL(一般名:ダサチニブ水和物)100 mgの1日1回投与が欧州委員会より、新たな効能・効果として追加承認されたことを発表しました。今回の承認は、第III相オープンラベル試験であるDASISION試験(Dasatinib versus Imatinib Study in Treatment-Naïve CP-CML Patients:未治療のCML-CP患者におけるダサチニブとイマチニブの比較試験)の結果に基づいています。この試験は、第46回米国臨床腫瘍学会および第15回欧州血液学会(EHA)で発表され、2010年6月のNew England Journal of Medicine誌に掲載されました(*2)。この試験は現在も進行中であり、長期的な結果を確認するにはさらなるデータが必要です。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の執行副社長兼研究開発担当最高科学責任者兼社長のエリオット・シーガルは、「欧州委員会による今回の追加承認は、欧州のCML患者さんと医師にとって重要な出来事です。これにより、イマチニブを上回る寛解率と、食事と服用の間の時間制限なしの1日1回投与という利便性を兼ね備えた選択肢がもたらされます。DASISION試験のデータでは、新たに診断されたフィラデルフィア染色体陽性の慢性期CML患者さんにダサチニブを投与した場合、12カ月までの成績でイマチニブと比較して、より短期間でより高い分子遺伝学的および確定した細胞遺伝学的完全寛解率が達成されることが明らかになりました。」と述べています。

DASISION試験の治験責任医師であるイタリア・ボローニャ大学のミケーレ・バカラーニ教授は、次のようにコメントしています。「近年、分子標的薬の登場を受けて、最も一般的な4種類の白血病の一つである慢性骨髄性白血病の状況は劇的に変化しており、患者さんの寿命が延びるにつれて、その有病率も上昇しています。欧州での追加承認とDASISION試験の結果は、フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病のファーストライン治療における選択肢として、ダサチニブの役割を確認するものです。」

DASISION試験の結果(12カ月)について

DASISION試験では、新たに診断されたCP-CML患者において、12カ月目までの成績でダサチニブはイマチニブよりも、短期間でより高い分子遺伝学的および確定した細胞遺伝学的完全寛解率(確定したCCyR:28日以上間隔をおいて二回連続してCCyRを評価すること)を達成しました。確定したCCyRに関する主要評価項目を達成した患者の割合は、イマチニブ群で66%[95% CI: 60-72]であったのに対し、ダサチニブ群では77%[95% CI: 71-82]でした(p=0.007)。確定したCCyR達成までの期間の中央値は、イマチニブ奏効群177人の5.6カ月に対し、ダサチニブの奏効群199人では3.1カ月でした。分子遺伝学的寛解(*3)(MMR)までの期間の中央値は、イマチニブ奏効群88人の9.2カ月に対し、ダサチニブ奏効群135人では6.3カ月でした。全期間のMMRは、イマチニブ群(34%[95% CI: 28-40])よりもダサチニブ群(52%[95% CI: 45-58])の方が高くなりました(p<0.0001)(*4)。移行期または急性期への進行は、イマチニブ群の9例に対し、ダサチニブ群では5例で見られました。

ダサチニブ群とイマチニブ群で一般的に見られた有害事象(全グレードを含む)は、表在性浮腫(それぞれ9%と36%)、胸水(同10%と0%)、悪心(同8%と20%)、発疹(同11%と17%)、筋肉の炎症(同4%と17%)でした(括弧内はそれぞれ、ダサチニブ群、イマチニブ群における発現率)。

DASISION試験の概要について

DASISION (Dasatinib versus Imatinib Study in Treatment-Naïve CML Patients)試験は、新たに慢性期フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病と診断された患者さんの治療において、SPRYCEL100 mgの1日1回投与と、イマチニブ 400 mgの1日1回投与を比較した非盲検、ランダム化、第III相国際共同臨床試験です。この試験には、519人の患者さんが登録され、259人にSPRYCELが、260人にイマチニブがランダムに割りつけられました。試験の主要評価項目として、12カ月目までの確定したCCyR率、副次評価項目として、確定したCCyRまでの期間、MMR率およびMMRまでの期間が評価されています。

慢性骨髄性白血病(CML)について

CMLは、体内で無数の異常な白血球が生成される、ゆっくり進行するタイプの白血病です。CMLは60歳から65歳の間で最も多く診断され、10万人に1人に発症すると推定されています(*5)。CMLは、2つの異なる染色体の一部分が切断され、相互に転座することによって発症します。この新たに生じた染色体はフィラデルフィア染色体と呼ばれ、bcr-abl遺伝子という異常な遺伝子を含んでいます。この遺伝子は、体内で異常な白血球細胞を過剰に産生させるBCR-ABLタンパク質を生成します。CMLを引き起こす遺伝子変化の原因は明らかにはなっていません。

  • *ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と大塚製薬株式会社は、米国と日本におけるSPRYCELの販売に関して提携しています。SPRYCELは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によって創薬、開発されました。日本におけるスプリセルの概要に関しては、以下の「ご参考」をご確認ください。
  • (*1)細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)とは、骨髄細胞の細胞遺伝学的評価でフィラデルフィア染色体陽性の分裂中期細胞がない状態と定義される
  • (*3)分子遺伝学的寛解(MMR)とは、末梢血のリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RQ-PCR)で測定したBCR-ABL転写レベルが0.1%以下(3 log以上の減少)と定義される
  • (*4)Hasfordスコアについて調整され、有意性に関してあらかじめ定義された公称レベルで統計的有意であることを示すデータ

【ご参考:日本におけるスプリセルの概要】

製品名 「スプリセル®錠20mg」及び「スプリセル®錠50mg」
一般名 ダサチニブ水和物
製造販売承認日 2009年1月21日
製造販売元 ブリストル・マイヤーズ株式会社
効能又は効果 1.イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
2.再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
用法及び用量

1.イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
(1) 慢性期
通常、成人にはダサチニブとして1日1回100 mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(2) 移行期又は急性期
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。

2.再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。

会社概要

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(Bristol-Myers Squibb Company)
設立:1989年
代表者:CEO Lamberto Andreotti (ランベルト・アンドレオッティ)
所在地:345 Park Avenue, New York, NY, U.S.A.
従業員数:30,000名
ウェブサイト:www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>

大塚製薬株式会社 (Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.)
設立:1964年8月10日
資本金:200億円
代表者:代表取締役社長 岩本 太郎 (いわもと たろう)
本社所在地:〒101-8535 東京都千代田区神田司町2丁目9番地
従業員数:5,826名 (2010年3月31日現在)
事業内容:医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造、製造販売、販売、輸出並びに輸入

参考資料

  • (*2)Kantarjian H, et al. N Engl J Med. 2010 Jun 17;362(24):2260-70.
  • (*5)Baccarani, M. and Dreyling, M. Annals of Oncology. 2010;21:165-167