2010年12月17日
SPRYCEL®(一般名:ダサチニブ水和物)
新たに診断された慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病の治療における、イマチニブとの比較試験(DASISION試験)の日本人を対象としたサブ解析の結果が発表

  • 米国血液学会議(American Society of Hematology)の第52回年次総会において、慢性期慢性骨髄性白血病を対象とした国際共同臨床第III相試験(DASISION)の日本人部分集団の解析結果が発表された(i)
  • 本試験の主要評価項目とした12カ月以内の確定した細胞遺伝学的完全寛解率は日本人を対象としたサブ解析においてSPRYCEL群(26人)で96%であり、対照としたイマチニブ群(23人)の70%を上回った
  • 安全性においては各群間で同程度であり、SPRYCELは良好な忍容性を示した
  • 本解析の結果により、日本人の新たに慢性期のフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病と診断された患者さんの治療において、食事と服用の間の時間制限を必要とせず安全に1日1回の経口投与が可能な利便性の高い新たな選択肢としてのSPRYCELの医療上の価値を確認

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(本社:米国ニューヨーク州、CEO:ランベルト・アンドレオッティ)と大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本 太郎)は、新たに慢性期のフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病(CML)と診断された患者を対象とし、SPRYCEL(一般名:ダサチニブ水和物)の有効性をイマチニブと比較して検証する第III相臨床試験であるDASISION試験の日本人部分集団における解析結果を発表しました。本解析において、試験の主要評価項目とした12カ月以内の確定した細胞遺伝学的完全寛解(CCyR(*1))率は、SPRYCEL群(26人)で96%、対照としたイマチニブ群(23人)で70%であり、日本人部分集団においてもSPRYCELの高い有効性が示されました。一方、安全性では両群とも良好な忍容性を示しました。本解析結果は、米国フロリダ州オーランドで開催された米国血液学会議(ASH:American Society of Hematology)の第52回年次総会にあたり公表されました。

SPRYCELは、DASISION試験における12カ月間のデータに基づき、「新たに診断された成人のPh+慢性期慢性骨髄性白血病の治療」の効能・効果で、米国食品医薬品局(FDA)より2010年10月に、また欧州委員会より同12月に適応追加承認されています。また、日本でも「新たに診断された成人の慢性期慢性骨髄性白血病の治療」の効能・効果で申請中です。DASISION試験は長期服用の結果を評価するために現在も継続中です。

日本人を対象としたサブ解析結果の詳細について

DASISION試験に参加した日本人の患者さんは登録された全519人中49人で、そのうち26人にSPRYCEL、23人に対照薬のイマチニブが割りつけられ、49人全てに治験薬の投与が行われました。試験の主要評価項目とした12カ月以内の確定したCCyR(確定したCCyR:28日以上間隔を置いて連続してCCyRを確認すること)を達成した本サブ解析の対象である日本人患者さんの割合は、SPRYCEL群の96%に対しイマチニブ群では70%、また分子遺伝学的寛解 を達成した患者さんの割合は、それぞれ73%および48%と、SPRYCELの高い有効性が示されました。

各群いずれかで発現率が10%以上の非血液毒性は、SPRYCEL群で多い順に(それぞれSPRYCEL群及びイマチニブ群)、皮疹(27%及び48%)、胸水(23%及び0%)、顔面浮腫(19%及び39%)、悪心(15%及び44%)、疲労(15%及び26%)、下痢(12%及び35%)、筋骨格痛(12%及び26%)、末梢性浮腫(12%及び17%)、上気道感染 /炎症(12%及び13%)、粘膜の炎症(粘膜炎・口内炎含む)(12%及び4%)、筋肉痛(8%及び17%)、消化不良(8%及び13%)、発熱(8%及び13%)、嘔吐(4%及び13%)、全身性浮腫(0%及び26%)、関節痛(0%及び13%)でした。

グレード3または4の血液毒性としては、SPRYCEL群とイマチニブ群のそれぞれで、貧血(8%および4%)、好中球減少症(27%および39%)および血小板減少症(8%および9%)でした。いずれの投与群でも死亡は報告されず、薬剤に関連した重篤な有害事象はまれで、程度は重度ではありませんでした(グレード1または2の嘔吐、低酸素症および心筋症-いずれもSPRYCEL群)。

DASISION試験の概要について

DASISION (Dasatinib versus Imatinib Study in Treatment-Naïve CML Patients)試験は、新たに慢性期Ph+CMLと診断された患者さんの治療において、SPRYCEL 100 mgの1日1回投与と、イマチニブ400 mgの1日1回投与の有効性を比較する非盲検、ランダム化、国際共同臨床第III相試験です。この試験には、全体で519人の患者さんが登録され、259人にSPRYCELが、260人にイマチニブがランダムに割りつけられました。試験の主要評価項目として、12カ月以内までの確定したCCyR率、副次評価項目として、確定したCCyRまでの期間、MMR(*2)率およびMMRまでの期間が評価されています。

慢性骨髄性白血病(CML)について

CMLは、体内で無数の異常な白血球が生成される、ゆっくり進行するタイプの白血病です。日本では、8,200人の患者数が推定されています。(ii)CMLは、2つの異なる染色体の一部分が切断され、相互に転座することによって発症します。この新たに生じた染色体はフィラデルフィア染色体と呼ばれ、BCR-ABL遺伝子という異常な遺伝子を含んでいます。この遺伝子は、体内で異常な白血球細胞を過剰に産生させるBCR-ABLタンパク質を生成します。CMLを引き起こす遺伝子変化の原因は明らかにはなっていません。

  • ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と大塚製薬株式会社は、米国、日本および主要ヨーロッパ諸国におけるSPRYCELの販売に関して提携しています。SPRYCELは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によって創薬、開発されました。日本におけるスプリセルの概要に関しては、以下の「ご参考」をご確認ください。
  • (*1)細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)とは、骨髄細胞の細胞遺伝学的評価でフィラデルフィア染色体陽性の分裂中期細胞がない状態と定義されます。
  • (*2)分子遺伝学的寛解(MMR)とは、末梢血のリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RQ-PCR)で測定したBCR-ABL転写レベルが0.1%以下(3 log以上の減少)と定義されます。

【ご参考:日本におけるスプリセルの概要】

製品名 「スプリセル®錠20mg」及び「スプリセル®錠50mg」
一般名 ダサチニブ水和物
製造販売承認日 2009年1月21日
製造販売元 ブリストル・マイヤーズ株式会社
効能又は効果 1.イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
2.再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
用法及び用量

1.イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
(1) 慢性期
通常、成人にはダサチニブとして1日1回100 mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(2) 移行期又は急性期
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。

2.再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。

会社概要

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(Bristol-Myers Squibb Company)
設立:1960年
代表取締役社長兼CEO エマニュエル・ブリン
〒163-1328 東京都新宿区西新宿6丁目5-1 新宿アイランドタワー
従業員数:1,000名
ウェブサイト:http://www.bms.co.jp

大塚製薬株式会社 (Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.)
設立:1964年8月10日
資本金:200億円
代表者:代表取締役社長 岩本 太郎 (いわもと たろう)
本社所在地:〒101-8535 東京都千代田区神田司町2丁目9番地
従業員数:5,826名 (2010年3月31日現在)
事業内容:医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造、製造販売、販売、輸出並びに輸入

参考資料

  • (i)Ogura M, Nakamae H, Fujisawa S, et al. Dasatinib Compared with Imatinib In Newly Diagnosed Chronic Myelogenous Leukemia In Chronic Phase (CML-CP):Results of Japanese Subset Analysis In DASISION Trial. Blood (ASH Annual Meeting Abstracts) 2010 116: Abstract 4484.
  • (ii)6地域がん登録データより算出した年齢調整罹患率に基づく